PsychoCabala〜第7の男〜
教会の入ると
祭壇の前に彼女は座っていた。



ステンドグラス越しの夕日に照らされ
静かに祈りを捧げる彼女。



その彼女の頭上には
十字架に張り付けられた
イエス・キリストの像が
静に佇んでいた。



暫く続く静かな時。



やがてイナッチは彼女に近づこうと
足を一歩前に踏み出した。



それに気付いたのか、同時に彼女もゆっくりと立ち上がった。



一瞬の出来事だった。



イナッチに見えている全ての物の動きが
スローモーション化して見え始めたのだ。



イナッチは思った。
彼女はこの間とは違う。



一見、見た目は変わらない。



だが、
彼女の醸し出すオーラや
立ち振舞い。
然り気無いその仕草は



まるで別人。



高校一年生の彼女が
今では怪しく美しく目に映る。



「おい。」



イナッチが静に声をかけると
彼女はその声に反応し
ゆっくりと振り返った。

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