PsychoCabala〜第7の男〜

裏切りの時。

「へ。着いて来いってか。」



イナッチはそう呟くと祭壇の上へと飛び上がった。



そして冷ややかな目付きで
彼女の下って行った階段を
ゆっくりと降り始めた。



階段の中には何も無かった。
ただ切り出した石が積まれており
奥深く下へ続いている様子だった。



「前が暗くて見えねーよ。」



細める視線の先にもはや彼女の姿は無い。



人がやっと一人通れる程の階段は
冷たく湿っており、下からゆっくりと
冷気が吹き出していた。



イナッチは思った。



あの誘いは罠か。



それとも・・・



やがて視界の先に薄暗い灯りが入り込んだ。



まあいい、取り敢えず
来いって言うなら行ってやるさ。



その瞬間イナッチの顔は
不敵に笑っていた。



< 203 / 314 >

この作品をシェア

pagetop