PsychoCabala〜第7の男〜
「やぁー。」



夏生は黒のタイトスーツに身を包んでいた。



「夏生さん・・・。」



「大丈夫?佳代ちゃん。

大変だったみたいだね。」



「夏生さん。

・・・PCの人だったんですね。」



その問いに気まずそうな顔で夏生は微笑んだ。



「佳代ちゃん。あのバス事故ね、警視庁からの正式発表は

『運転手の居眠り事故』として片付けられたよ。

あの事故で運転手の男性も犠牲になってる。

被疑者不在のまま起訴されるそうだ。

・・・死人に口無しって奴だな。」



「そうですか・・・。

真実と違う事なんて、世の中沢山あるんですね。

あの事故も、ダークマターの事も、
決して表沙汰にはならない。

いい勉強に成りました。」



力の無い、佳代のその声に夏生は窓際まで行き、
外を眺めた。



「佳代ちゃん。これからどうする気?」



夏生は優しく問いかけた。


佳代は下を向き、シーツを両手で強く握りしめ
黙り込んだ。


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