PsychoCabala〜第7の男〜
帯斗は始めから表情を
少しも変えていない。



それどころか
涼しい顔で相手にこう言った。



「はーん。俺の名前、
知ってんだ?

俺は、
お前みたいな背のちっちぇー奴。
知らねーけどな。」



男は帯人の言葉に、
表情を歪め
怒りをむき出しにした。



だが帯斗は追い討ちをかける様に言い放つ。



「おい!そこのちっちぇーの!
かかってこいよ。」



右手を前に出し、男を挑発して見せた。



その態度に、我を忘れた男は、
手を後ろにやり何かを小声で唱え始めた。


その目は正に
獲物を捕える前の野獣の様。
帯人を睨み付ける眼差しに光は無かった。


「殺す」



言葉と同時に後ろに回していた両腕が機械の様に帯人に向けられた。



その殺気に帯人の表情も厳しくなる。



男の肩の筋肉が動いた瞬間、



来る。



帯人は右腕を前に構えた。



だが

男のその手を誰かが掴み、
一瞬にして
全ての殺気が消えた。


もう一人の背の高い方の男だった。




「もういい、辞めとけ。」



もう一人の男は、
背の低い男を宥め、
紳士的にこう言った。



「帯斗くんだね。
・・・・今日は君に挨拶しに来ただけでね。


突然の無礼を詫びるよ。」



帯斗は先程とは違い
異常に興奮している様に見えた。



「挨拶なんて、
いらねーよ!バーカ!」



そしてその男にも
舌を出し、挑発した。
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