恋するキモチ

「明日からテスト週間だから、ちゃんと英語も勉強しなさいよ」
「辛ぇー」
現実に戻る。
教師と生徒の会話だ。

「先生、どうしたら英語できるようになりますか？俺、苦手すぎるから」

お弁当を食べ終わり、包み戻す。

「好きになることじゃない？」
「…」

「嫌いだ！苦手だ！って言ってるうちは、絶対無理」
七瀬先生はハンカチで口元を拭いた。

「何でもそうだよ。嫌いな食べ物だって食べなきゃわからないし、勉強だってそう。わからないから、したことないから、する気がないからって断ってるうちは、無理かな」

…わからない
　したことない
そうやって逃げてることって、たくさんある。


「先生、俺が勉強するって言ったら、教えてくれますか？」
「当たり前じゃない。それが私の仕事なんですけど」
「そっか…」
二人で目を合わせて、大笑いした。