恋するキモチ

「どうする？松坂先生、これでタクシー乗せたら、家まで帰れるかなあ…」

すっかり寝てしまっている松坂先生をどうするかで相談。


「私、家まで送っていきますよ。ご自宅知ってますから」
「本当？七瀬先生、悪いね」

みんなに感謝される。
本当は私が一番感謝したい。


「じゃあ、また明日」
「お疲れ様です」
七瀬は他の教師たちとあいさつをかわし、助手席で眠っている松坂のいるワーゲンに乗り込む。


「先生、辛かったよね」
聞こえるはずもないのに、七瀬はそっとつぶやく。

寝息を立てて、松坂は眠っている。


七瀬は少しだけ顔を寄せた。松坂は、お酒臭い息をはいて、気持ちよさそうに眠っていた。