恋するキモチ
立ち上がった俺は、もう一度だけ振り向いてこう言った。
「あのさ、話あるんだけどいい?」

「何?」
びっくりした明梨の顔。

「あのさ、まだ誰にも言ってないんだけど…」
「うん」

「誰に相談したらいいか分からなくて。篤朗にも言ってなくて。明梨にだけ言うんだけど…」
「…」

「俺さ、好きな人ができたみたい」
「!」

「七瀬先生なんだけど、どう思う?」
一瞬空気が凍りつく。


少しだけ明梨の肩が震えていた。

「…いつもそうだよ」
「えっ?」
明梨の小さな声が聞き取れない。

「徹平は、いつもそうだよ!明梨にだけ、明梨にだけって…少しは私の気持ち考えてよ!」

ガタン!

明梨は叫ぶと、椅子をつき飛ばして教室から出て行った。


「あかり…」
キレた明梨、初めて見た。
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