HANABI
顔をあげて確認すると、やっぱり。

旭の声。

シューズケースをぶつけられて以来、ほとんど話してなかった。

必要なことだけ少し話すくらいで。

隣の席だけれど、
この1ヶ月は授業が体育祭練習でつぶれてばかりで、
授業という授業もなく。


給食時間も旭はヒロヤとばかり話していたし、
優花も同じ班の女の子と話していた。

もともと、話したことなかったし…。
話題がなかったし。


ずっと話してなかったからか分からないけれど、
最近初めて話した日のことをよく思い出す。


くしゃっと笑った笑顔。
「わりぃ」と言った少し低めな優しい声。
シューズケースに書かれた名前。
なぜか忘れられなかった。


あの日から、1ヶ月もたったんだね。
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