HANABI
―――四月七日。
三年一組がスタートした日。新鮮な気持ちで胸がいっぱいだった日。


この日から、もう始まっていたのかな。



あたしたちの歯車は

静かながらも、

小さいながらも、

わずかな音を囁きながら、

動き出していたのかもしれない。


時計の針は
いつもと変わらないようだけれど、

あたしたちに色を染めながら、

少しずつ時を刻みはじめていたのかもしれない。



だとしたら、

始まりの合図は
何だったんだろう。


始業を伝えるチャイムの音?
朝を伝える鳥のさえずり?

何かが、あたしたちに始まりを伝えようとしてくれていたのかもしれない。


今だからそう思えるのだけど。
< 7 / 43 >

この作品をシェア

pagetop