聖花学園~花よ咲き誇れ~2
 ギイィ……


 ドアがゆっくりと開かれ、その向こうから呉羽先生の変わらぬ嫌な微笑みが現れた。

 その顔を見ていたくなくて、わたしは少し視線を下にずらす。



「やはりいるんじゃないか。余計な手間を掛けさせるな」

 少し不機嫌そうに言った呉羽先生は、その後沈黙する。


 視線を感じるから、きっとわたしを見ているんだろうけど……。

 でも、わたしは呉羽先生がどんな顔をしているのか見たくなくて、顔を上げられなかった。



 そうしていると、初めて会ったときのように髪を一房掴み取られる。


 思わず救い上げられる髪を見つめてて、顔を上げてしまった。


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