聖花学園~花よ咲き誇れ~2
「ぃやぁ……」

 やっとのことで出た言葉は、蚊の鳴くような小さな声だった。



 そのままの状態で呉羽先生はわたしの体ごと部屋に入ろうとしてくる。

 わたしは踏ん張ろうとしたけど、抱きしめられている状態では力が入らない。

 男と女の力の差もあって、その抵抗はほとんど無駄なものだった。




 逃れられない……。

 助けて……。

 誰か。

 助けて、る――。


「小都子ぉ!」


 目を閉じ、心の声で誰かに助けを求めようとしたとき、今一番聞きたい声が聞こえた。


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