聖花学園~花よ咲き誇れ~2
 目を開いて声の方を見ると、流依がこっちへ走ってきていた。

 そのすぐ後ろには和子先輩の姿も見える。


 駆けつけた二人はわたしから呉羽先生を引き離してくれた。


 和子先輩は優しく包み込むようにわたしを抱き寄せてくれて、流依は守るようにわたしと呉羽先生の間に入ってくれた。


「呉羽 直人……。お前だけは許せない!」

 そう叫ぶが早いか、流依は呉羽先生に殴りかかっていった。


「流依、ダメ……」

 和子先輩はそんな流依の首根っこを掴み止める。


 流依はえりを引っ張られて苦しかったのか、少し涙目で喉を押さえながら振り返った。

「どうしてダメなんですか!? こいつは小都子に酷いことしてくれたんですよ!?」


「そうだよ。小都子に、酷いことをした……」

 そう答えた和子先輩の口調は、珍しく怒りを露わにしたものだった。

 いつもより声が低くて、一瞬ゾクリとする。

< 119 / 389 >

この作品をシェア

pagetop