聖花学園~花よ咲き誇れ~2
「……まったく、やはりお前らは邪魔だな。折角二人で楽しんでいたっていうのに……なあ? 小都子?」

 ニヤリとダークな笑みを浮かべ、呉羽先生はまたわたしを名前で呼んだ。


 そんな表情をしていなければ、睦言(むつごと)にでも聞こえるかのように、甘く……。



「っこのっ!」

 呉羽先生の言葉は流依の勘に触るには十分だったらしい。
 流依はそう声を上げると、右手を拳の形にして呉羽先生に殴りかかった。


 対する呉羽先生は避けようともしない。

 それどころか、ニヤリと笑みの形を作った。


「流依っダメ!」

 わたしは瞬時に流依を止めようと声を上げた。
 もう、手で止められる範囲に流依はいなかったから。


 思い出したのは昨日のこと。


 
< 132 / 389 >

この作品をシェア

pagetop