聖花学園~花よ咲き誇れ~2
「……すまないな……」

「え?」

「あいつの挑発に乗ってこんなことになって……。お前を守るって言ったのに、側にいられなくなって……情けない……」


 そう言ってうつむく流依。

 伏せた睫毛が影を落とし、わたしはそんな流依を愛しいと思った……。



 自然とわたしは流依の手を両手で包むように持ち、自分の頬に当てた。


「有り難う流依。その気持ちだけで、わたしは十分嬉しい」

 頬に当てた手のぬくもりが、心地いい。


「小都子……」

 小さくわたしの名前を呼んだ流依は、ゆっくりとわたしの肩を引き寄せ抱きしめた。



 周囲に他の生徒がいたら黄色い声が廊下に響いていたかもしれない。

 でも、昼休みも終りに近いせいかここに他の生徒の姿はない。



 だからわたしは安心して流依のぬくもりを感じていた。


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