聖花学園～花よ咲き誇れ～２
「いつの頃からか、お前の俺達に向ける態度と流依に向ける態度が変わってた。……気付いてなかったのはきっとお前本人と流依だけだな」

　そう言われて、わたしはチラリと流依を盗み見た。


　息を詰まらせ、驚いているかのような表情。

　本当に優姫先輩の言うとおり、気付いていなかったみたい。



「だから俺は、いつかこんな風に断られること……覚悟してた」

　寂しそうに言った後、またニカッと笑う。


「和や寿だって、本当は分かってるはずだ。だからお前がそんな申し訳なさそうな顔する必要なんかないって」

　そして優姫先輩は両手で私の頬を包み、最後に告げた。


「お前は笑っていろよ、小都子。幸せそうに笑っていてくれれば、俺は本当に諦めがつくから……」


「優姫先輩……」


　そんな風に言われても、やっぱり申し訳ない気持ちばかりが溢れてくる。

　優姫先輩の言うとおり笑顔を向けてあげたいけど、今は引きつった笑顔しか出来なそうだ。
< 216 / 389 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop