聖花学園~花よ咲き誇れ~2
 どうしても笑顔になれないわたしに、優姫先輩は優しく微笑む。

 まるでわたしの代わりに笑っているかのように……。



「無理しなくていい。徐々にでいいんだ、俺もそんな簡単には諦めきれねぇし」


 そう告げると、優姫先輩はわたしの頬から手を放した。


「じゃあ俺、まだ残ってる方付けしてくるわ。流依、ちゃんと小都子見ておけよ? じゃねぇと怪我してるのに無茶しかねねぇからな」

「あ……はい」


 流依の気の抜けた返事を聞くと、優姫先輩は笑顔で部屋を出て行く。



 優姫先輩が出て行った後のドアをそのまま見つめていると、翔子先輩が軽くため息をついた。

「優貴って男らしいよね。フラワーの中で一番可愛らしいくせに……」

 わたしと同じくドアを見つめたままでそう言うと、次にわたしの方を見る。
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