聖花学園~花よ咲き誇れ~2
「でもオレは結構女々しいから、優貴のああいう男らしいところが羨ましいと思う……」


 そうして、少し悔しそうに……寂しそうに微笑んでいた。



 翔子先輩の手が、わたしの髪に触れる。

 軽く持ち上げ、サラサラと落とされた。


 その手から髪が全て落ちると、翔子先輩は静かに口を開く。



「オレは、優貴みたいに諦めるなんて言えない。……でも、だからといって君を困らせたくもない……」

 そこまで言うと、今度は同じ手で頬に触れ、「だから」と続けた。


「二人の邪魔はしないから、まだ好きでいさせて……」

「っ……」

 その優しさに、胸が苦しくなる。


 諦めるなんて言えないと言っておきながら、まだ好きでいさせてと言う。


 『まだ』ということは、いずれは諦めるということ。
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