聖花学園~花よ咲き誇れ~2
 

 翔子先輩にも気を使わせてしまった。


 『ありがとう』と『ごめんなさい』が同時に溢れてくる。

 でも苦しくて……言葉には出来なかったから、代わりに涙が出た。


 本当は笑顔を向けていたいのに、涙が止まらない。



 そんなわたしの頬から手を離し、翔子先輩は仕方ないなと微笑んだ。


「この涙は流依にしか止められそうにないな。……オレも優貴と片付けを終わらせるとするか」

 独り言のように言った翔子先輩は、普段の軟派な雰囲気になってわたしから離れていく。

 そして流依にウインクをして、「後は頼んだよ」と言い残しドアから出て行った。




 残されたのは流依とわたしだけ。


 でもわたしは、今の状況でどうしていいのか、何を想えばいいのか分からず、ただ泣いていた。
< 219 / 389 >

この作品をシェア

pagetop