聖花学園~花よ咲き誇れ~2
「うっ……ひっ……ふぅ……」

 小さくしゃくり上げながら、止まらない涙を拭う。


 そんなわたしを、流依は優しく抱きしめてくれた。

 何も言わず、ただあやすように背中をポンポンと叩いてくれる。


 流依の体温と、背中を叩く優しい手に安心して、わたしは少しずつ落ち着いていった。



 涙が治まった頃、流依は残っている涙を吸い取るように目蓋にキスしてくれる。


 頬にも柔らかい唇が触れ、他にも額やこめかみ、そして最後に……唇に触れた……。



 触れるだけのキス。

 でも、軽くついばむように何度も角度を変える。


 段々、わたしは泣いていたことも忘れたかのように、自分から流依を求めた。


 触れてきた唇に、わたしの方がついばむように唇を動かす。
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