聖花学園~花よ咲き誇れ~2
「うっん……」

 彼女はそう唸っただけで、やっぱり起きることは無い。


 そしてまた、僕の目は彼女の唇に釘付けになる。



 僕は、どうしてしまったんだろう……。



 自分の異変に戸惑いながらも欲求は止められず、今度はその唇に僕の唇を重ね合わせたいと思った。



 駄目だ……。
 寝ている女の子に、こんなことしちゃ……。



 そう思うのに、体は自然と動く。

 彼女に覆いかぶさるように手をつき、キスがしやすいよう片手で彼女の頭を持ち上げた。


 顔を近づけ、あと10cmという所で葛藤する。



 キスしたいという欲と、そんなことしちゃいけないという理性がぶつかり合う。


 でも、目の前の無防備な彼女の寝顔が僕の理性を粉々に砕き、僕はその10cmの差を縮めていく。


 そのとき――。
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