聖花学園～花よ咲き誇れ～２
「あ、鳴海さん。はい、そうです」

「ふーん」

　鳴海と呼ばれたその男の人は、わたしの前に来ると頭の天辺から足元までまじまじとわたしを見始める。



　な、何この人……。



　思わず後退りすると、今まで黙っていた流依がわたしを守るように前に立った。


「何ですか貴方は？　人の彼女ジロジロ見て」

　『彼女』というセリフに思わずドキッとする。
　少し頬が熱くなった。


　ああもう、これだけで照れちゃうなんて……。


　恥ずかしくて、わたしは赤く染まった頬を隠すように両手を当てた。



「ああ、悪かった」

「二人とも、この人はカメラマンの鳴海 仁（ﾅﾙﾐ ﾋﾄｼ）さんだ」

　謝る鳴海さんを翔子先輩が紹介してくれた。

　そしてこっちも紹介してくれようとした翔子先輩だったけど、その前に鳴海さんが話しだす。


「実は今、翔と一緒に撮るはずだった女の子が事故に遭って来れなくなってね。三週間の怪我をしてしまったらしいんだ」

　いきなり現状説明をされて、は？　と疑問に思う。
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