聖花学園~花よ咲き誇れ~2
 そして会場に戻ると、どんな雰囲気で撮るのかを簡単に説明され、すぐにカメラの前に立たされる。

 わたしはどうしていいか分からなくて、一緒にカメラの前にいた翔子先輩に不安げな眼差しを向けた。



「ごめんね。こんないきなり」

「あ、いえ……」


 そんな風に申し訳なさそうな顔で謝られて、何も言えなくなる。

 言葉を紡ぎ出すことが出来なくて、視線を逸らすようにうつむいてしまった。



 翔子先輩はそんなわたしの頬に手を当て、「でもね」と言いながらわたしの顔を上向かせる。


「申し訳ないと思ってるけど、オレ、それ以上に嬉しいんだ」

「え?」


 また交わった視線の先には、穏やかな微笑みがあった。

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