聖花学園~花よ咲き誇れ~2


 コンコン

「失礼します」


 わたしはノックと同時に断りの言葉を言い、返事を待たずにドアを開けた。


 呉羽先生はヒマだったのか、窓辺に立ち外を眺めていた様だった。


 部屋に入ってきたわたしに気付くと、ニッと口を笑みの形に変え聞いてくる。



「桂か。どうした? 怪我でもしたか?」

 そう聞いてくる呉羽先生はやっぱりちゃんとした保健医だ。


 わたしは学園長の忠告なんてすっかり忘れて、警戒心を持たずにドアを閉めた。



「あ、はい。たいしたことないんですけど、ココ爪で引っ掻いてしまって……」

 と、診察するときのイスに近付きながら左顎の部分を指差す。



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