聖花学園～花よ咲き誇れ～２

　最初はビクッと怖がったけど、その手は優しくわたしの頭を撫でたから少しホッとする。


「……言いたくないのなら言わなくていい。でも、泣きたいときは我慢しないで泣くんだ」

　頭を撫でる手と同じくらい優しい声で言われて、わたしは目頭が熱くなるのを感じた。



　翔子先輩は、いつもはどちらかと言うとヘラヘラしているように見えるしセクハラもしてくる。

　けど、こういうときはどうしたら一番いいのかを知っている人だ。


　普段は寿先輩のほうが落ち着いているように見えるけど、流石は年長者。

　精神的な面ではフラワーの誰よりも一番大人だ。



　そういう人だから、きっとわたしの様子に気が付いたんだろう。

　今は男の人にあまり触れて欲しくないってことに……。


　だから、翔子先輩は頭を撫でるだけでそれ以上近付かないし触れても来ない。