聖花学園~花よ咲き誇れ~2
 わたしはその優しさが嬉しくて翔子先輩に甘えた。

 そのままの状態で泣き始める。


「うっ、ふうぅ……しょ、こっ……せんぱっ……ひっく」


「いいよ、何も言わなくて。とにかく泣いてしまうんだ。涙は嫌な事を少しだけ、一緒に流してくれるから……」

 翔子先輩はあやすように頭を撫で続けながらそう言った。



 さっきの呉羽先生が冷たくて怖かったから、尚更この温かくて優しい手に救われた気がする。


 少なくとも、一人じゃないって思えた。


 助けを求めることが出来なくても、相談することが出来なくても。
 こうやってさりげなく支えてくれる人がいる。


 それを思い出させてくれて有り難うと……言いたかったけど嗚咽が邪魔をして言えない。


 だからせめてもと。


 心の底から有り難うと思った……。




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