愛と青春と追憶の みどる。
「しかし、

高校。大学。専門学校。会社。

恋愛。結婚。家族。



これからは、違う。



若者というものは、

大人への成長過程の各段階において、

学力や能力や努力の量で、

細かく品質検査・人間審査をされて、

各階級毎に細かく分類されて、

各階級毎の収容施設のどてっぱらに、

悲しいほどに、無感情なまでに、

冷酷な格闘家がぶちこむみどるが、

そうであるように、

そっと、静かに、

その、収容施設のどてっぱらに、

ぶちこまれるものなのだ。


そして、

努力もせず、考えもせず、悩みもせず、

感動もせず、

負けることの、悔しさのみどるも、

負けたことによる、涙のみどるも、

己のこころに、ぶちこむこともせず、

己に打ち勝つことの、

歓喜と充実のみどるを、

己のこころに、ぶちこむこともせず、

共に励まし合い、

苦しみを分かちあった友人たちと、

感謝のみどるも、抱擁のみどるも、

涙ながらにぶちこみ合うこともできない、

そんな、戦うことのない日々ならば、

ただ、流されるだけ。



今度はこっちの収容施設、

次はこっちの収容施設へと、

あまりにも無機質な、

収容施設の間を、

ただ、流されるまま、

自分の意思など何もないまま、

その後の選択肢が、

より一層限定された収容施設へと、

ただひたすらに、

移送され、収監続けていくものなのだ。」
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