いちご

「大丈夫だった？可愛いんだから、気を付けなよ？」

口角を少し上げて柔らかい微笑みを浮かべて彼女が優しく声をかけた。

女子生徒はコクンとうなづく。


それを見た彼女は更にニコッと笑うと、学校へと歩きだした。






「あ、あのっ…」

さっきまで怯えていた女子生徒が彼女を呼び止めた。

「もしかして、あなたが…」


彼女は少し明るい綺麗に巻かれた茶髪をフワッと弾ませて振り返ると、頬を緩ませた。

…この笑顔に目を奪われない人はいない。


「鳴海ひかる…です」

透き通るような声とはまさにこのこと。
女子生徒はポーッと頬を赤らめる。


「やっぱり！ひかるさんですよねっ♪さっきはありがとうございました！かっこよかったです」

「そ？ありがと」

ひかるは白い歯を見せて微笑むとまた颯爽と学校へと歩きだした。




鳴海ひかる、
舞園高校の生徒なら誰もが知っている人物。
綺麗で着飾っていなくて性格もよくて、スタイル抜群。
おまけに武道の達人で、かっこいい女性。
女子生徒の憧れの的だった。



だけど、さっきの出来事を見ていた男子達は…。