モラルハラスメントー 愛が生んだ悲劇
都内のホテルで婚約パーティーを開いた。
裕子の会社関係者、友人、親族と 倉澤の会社の社員と友人・・・。
彼の実家は東北で、母親は祖母の介護で出席できないことを詫びる手紙を寄越していた。
父親だけが出席することになったが、都会の雰囲気が苦手なのか、簡単な挨拶だけを済ませると、そそくさと席を後にしてしまった。
ともあれ、賑やかなパーティーとなったのだが、倉澤は一人、終始緊張している様子が
その表情からわかった。
「直哉、大丈夫?」
裕子がワイングラスを片手に近付くと
引き攣った表情で、彼はこう言った。
『大事な話しがある。
結婚するための条件についてだ。』