モラルハラスメントー 愛が生んだ悲劇
一度怒り出した直哉の機嫌は夕方になっても直らなかった。
『パチンコに行く』と言い、部屋を出る間際、
『裕子。 言っておくけど俺は異常に嫉妬深いんだ。
それは裕子を好きだからだ。
俺を悲しませたくなければ、携帯に入ってる男のアドレスやメール、全部消しておいてくれ。
嫌なら嫌でいい。
それなら俺のことを好きだとか言わないでくれ。
嘘は嫌いなんだよ。
俺は本物にしか、興味ないから。』
それだけ言うと、ドアを力いっぱい強く閉めて出掛けていった。
裕子はその場にしゃがみ込んだ。
膝が細かく震えていた。