モラルハラスメントー 愛が生んだ悲劇
再帰のために

同じことの繰り返しの日々が無限のように続いた。

この間に直哉の自傷行為により救急車を呼ぶことは五回に及んだ。

直哉が大量服薬をしても、息があるのだから、できれば通報は避けたいのだが、排泄物の処理に追われる日々と

いつ目覚めるかわからないという不安から、裕子の神経は完全に参ってしまっていた。


裕子は苦しみ、悩みながらも夫を救う方法ばかり考えていた。

彼を愛している。

彼も裕子を必要としている。

彼を助けられるのは、自分だけだ。

それだけが、裕子の生きる原動力となっていた。

裕子は夫が薬で寝ている間に彼の会社へ出向き、勉強をした。

感の良い裕子はすぐにノウハウを身につけ、事務、経理、営業と、全てをこなし、会社の無駄も整理した。

その他、過去の人脈を頼りにコンタクトを取っては直接交渉に出向き営業をしたり、
紹介を受けた大手清掃会社との業務提携に繋げるなど、積極的に活動していった。

数ヶ月で見違えるほどの良い流れができていき、潰れかけた会社は裕子のアイデアやセンスによって生まれ変わっていった。







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