モラルハラスメントー 愛が生んだ悲劇
多忙により、元々痩せ型の裕子は更に痩せ細り、倒れることもしばしばあった。
それでも家に帰って会社の話しを聞かせていくうちに、次第に元気になっていく夫を見ていると、救われるのだった。
社員からのメールで、会社の売上が好調であるとの報告を受け、直哉は酒を呑まなくなった。
社会復帰する前に、ダブダブに肥えた体をなんとかしなければと、裕子を誘ってジョギングを始めるなど精力的に変わってきていた。
(直哉はじきに、復帰できる。
この日をどれだけ夢見てきたことか・・・)
それが後々、夫が復帰どころか、更に冷酷な人格異常者に生まれ変わることになるのだが、
この時の裕子は、これまでのことを二人で乗り越えたことで
深い絆が生まれ、愛に溢れた生活に戻れることを、信じて疑わなかった。