モラルハラスメントー 愛が生んだ悲劇
婚約から結婚へ
『結婚してほしい』
そう言いだしたのは倉澤だった。
待ちに待った言葉に、裕子は喜びを隠せなかった。
「私でいいの?」
倉澤は深く頷いた。
『一生大事にする。こんな風に、女性を好きになれたのは初めてなんだ。本当に、裕子に会えてよかった。』
そう言った後、
『ひゃっほ〜いっっ 結婚だぜ!
うぉーっっ!仕事頑張っちゃうぞ〜!!』
などといつものクールな彼とは思えないほど浮かれて部屋の中を飛び回り、踊り出した。
裕子は(こんな風にはしゃぐ所もあるんだ・・・)と、クスクス笑いながら見つめていた。
裕子は自分が彼のことなど何も知らないということに、この時まだ気づくことはできなかった。