Go against story
裏マーケット
ノゥンは深い深い眠りに落ちた。
修道院での平凡な日々。ある日に出会った若い戦士。夕暮の馬車の中で身仕度をしている自分の決意。…そして盗賊達に連れ去られた自分。
夢の中でボスが
「殺しはしてないから安心しろ。」
と言った言葉で、ノゥンは意識を取り戻した。
頭はモヤのかかったようにボーッとしているが、かろうじて自分が倉庫のような場所にいることがわかった。
目の前の扉からは光が細くもれており、ガヤガヤと人の声が聞こえてきた。
「私は一体…?」
あまりまともに考えることが出来ないぐらいに、ノゥンはボーッとしていたが、あの飲み物に仕掛けがあったのは間違いないと思った。
そのとき、扉が開き2人の人物が入って来た。
逆光であまりよく見えないが、1人はボスらしき長い棒を持っていた。
「このガキがトランスねぇ…。顔立ちはアタイの好みなんだけど。」
もう1人が近付いて来た。
どうやら女のようで、ヒラヒラとした物を着ていた。
「ノアールはわからないと言っていたが…まぁこの姿ならみんな信じるだろう。」
ボスは冷たくノゥンの風貌を見て言う。
「そこは上手くやっとくよ。…でもこいつ…薬を入れ過ぎたんじゃないのかい?」
ノゥンの顔をグイッと持ち上げた女は、虚ろな目をしているのを見てボスに言った。
「“競り”の間、大人しくしてて欲しいからな。」
ボスはそう言うと部屋を出て行った。
「まだガキなのにねぇ…。」
女は左耳の大きな黒い輪をシャランと揺らしながらボスの後を追った。
それからしばらくたって、また2人入って来た。
今度は扉をバンッと開放ってくれたので、その2人がバックスとジャックであることがわかった。
「ジャック、後はこいつを運びだすだけだよなぁ?」
ドシドシと床を鳴らしながら入ってくるバックス。
「あぁ、早く“競り”に持って行かなきゃボスに怒鳴られるぞ。」
ジャックが早口で言うとバックスはノゥンを軽々と担ぐ。
「しっかし、わかんねぇのがこいつを“トランス”として売ることだよなー。」
バックスは独り言のように言う。
「んなもん、トランスの方が高く売れるからじゃねぇか!」
ジャックがバカにするように言った。
修道院での平凡な日々。ある日に出会った若い戦士。夕暮の馬車の中で身仕度をしている自分の決意。…そして盗賊達に連れ去られた自分。
夢の中でボスが
「殺しはしてないから安心しろ。」
と言った言葉で、ノゥンは意識を取り戻した。
頭はモヤのかかったようにボーッとしているが、かろうじて自分が倉庫のような場所にいることがわかった。
目の前の扉からは光が細くもれており、ガヤガヤと人の声が聞こえてきた。
「私は一体…?」
あまりまともに考えることが出来ないぐらいに、ノゥンはボーッとしていたが、あの飲み物に仕掛けがあったのは間違いないと思った。
そのとき、扉が開き2人の人物が入って来た。
逆光であまりよく見えないが、1人はボスらしき長い棒を持っていた。
「このガキがトランスねぇ…。顔立ちはアタイの好みなんだけど。」
もう1人が近付いて来た。
どうやら女のようで、ヒラヒラとした物を着ていた。
「ノアールはわからないと言っていたが…まぁこの姿ならみんな信じるだろう。」
ボスは冷たくノゥンの風貌を見て言う。
「そこは上手くやっとくよ。…でもこいつ…薬を入れ過ぎたんじゃないのかい?」
ノゥンの顔をグイッと持ち上げた女は、虚ろな目をしているのを見てボスに言った。
「“競り”の間、大人しくしてて欲しいからな。」
ボスはそう言うと部屋を出て行った。
「まだガキなのにねぇ…。」
女は左耳の大きな黒い輪をシャランと揺らしながらボスの後を追った。
それからしばらくたって、また2人入って来た。
今度は扉をバンッと開放ってくれたので、その2人がバックスとジャックであることがわかった。
「ジャック、後はこいつを運びだすだけだよなぁ?」
ドシドシと床を鳴らしながら入ってくるバックス。
「あぁ、早く“競り”に持って行かなきゃボスに怒鳴られるぞ。」
ジャックが早口で言うとバックスはノゥンを軽々と担ぐ。
「しっかし、わかんねぇのがこいつを“トランス”として売ることだよなー。」
バックスは独り言のように言う。
「んなもん、トランスの方が高く売れるからじゃねぇか!」
ジャックがバカにするように言った。