Ｇｏ ａｇａｉｎｓｔ ｓｔｏｒｙ

「だけどよぉ、ノアールはわかんねぇんだろ？もし違うかったら…」

「ボスが間違うわけねぇだろっ！」

ジャックは言葉を遮るように怒鳴ったが、ジャック自身も今回のことには動揺していたのだった。

バックスはしゅんとなりそれ以上何も言わなかった。

通路を進むにつれ周りの音は大きくなる。

バックス達は大きなカーテンのようなところまでくるとノゥンをイスに座らせた。

「ご苦労様。後は壇上の真ん中に置いておくれ。」

さっきの女がカーテンの中から手招きするように指示する。

「おぅ！後は任せたぜぇ！」

バックスとジャックはイスに座ったままのノゥンを半円状に広がる場所に置いた。

ノゥンはまだボーッとしている。

そんなノゥンを横目にバックスとジャックはそそくさとカーテンの裏へと戻っていった。

「さぁ、ショータイムの始まりだよっ！」

女の声と共に頭上からライトがノゥンに降り注ぐ。

すると目の前もフッと明るくなり、そこには大勢の人々が仮面をつけ、どよめきながらノゥンを見つめた。

「皆様、お待たせ致しました。今日１番の目玉はトランスの子供です！」
さっきの女が声を張り上げながら言った。

「ををーーー！！！」

どよめきがさらに大きくなる。

「では！３００ピートから参りたいと思います。」

（ピートとは金額の単位で、１ピート＝１万円ぐらいである。）

「４００！」

「６５０！」

値段はどんどんつり上がって行く。

そのときだった。

後の方で扉がバァンと開く音がした。

「おぃ！お前ら！全員大人しくしてもらおかぁ！」

扉から入ってきたのは独特のなまりを喋り、黒髪を立たせ、口にはピアスをし、長く銀の装飾が目立つ銃を背負った青年だった。

「やぁっと見つけたでー！ここがマーケットかぁ～、ほんまによぅこんなにも賞金首が集まってんなぁ。」

青年は両足から別の銃を取り出し、仮面の人々に向けた。

「思い出した！こいつはっ…凄腕賞金稼ぎ“イーグルアイ”だぁーー！」
誰かが叫んだと同時に、一斉にみんな逃げ出す。
「お、おぃ！お前ら大人しくせぇや！」

青年も一斉に逃げ出した大人数に戸惑っている様子だった。