Go against story
シンはテーブルに地図を広げると、“石略奪作戦”の手順を説明し始めた。

「今俺らの家がここで、奴らは…多分もっと南の入り江付近にいるはずや。やからこのまま真直ぐに海を進んで…。」

「おい…ちょっと待て…なんでお前こんなに奴らのこと詳しいねん?」

シンの説明を遮るようにタカが言った。

「あぁ…ゆうてなかったな。海賊スプリングの船長は俺の伯父や。」

その言葉にタカは耳を疑った。

「はぁ?お前伯父さんなんておったん?ってか、やったら闘う必要ないやん!お前が行って話したら…。」

そう言いかけたタカは口をつぐんだ。

「…俺の家は代々鍛冶屋や。それも特殊な…な。お前の両親が盗賊に襲われたとき、俺の親も祖父ちゃんも…俺以外はみんな殺された。この鍛冶の技術は俺しかしらん。やから…。」


「お前はその技術を色んな奴に狙われてるんやんな。」

タカは申し訳なさそうに言った。

「そう。やから唯一の血縁者の伯父も俺の力を欲しがってんねん…。」

そう言ってため息をつくシンを悲しそうに見つめながら

「お前が行ったら…捕まってまうわけか。」

と、タカもため息をつく。

また沈黙が流れるが、ノゥンがそれを振り払うように

「だったら、僕達が行くだけです。」

そう言って、二人を元気づけた。

「せやな、ノゥン!オレらがやればすむだけの話や。」

タカは二カッと笑ってみせた。

「おっし、作戦の続きや!行き方はさっきゆったやろ?。」

シンも気を取り直して話す。

「タカがいつもやるように銃で撃ち回ったら完ぺきにアウトや、すぐに逃げられてまう。やから船を見つけたらまず船長を探せ!んで船長に“石が欲しい”ってゆうたらえぇ。」

「そんなに直接ゆうてえぇんか?」

タカが聞くと、シンは苦笑いしながら

「石は船長の“証”や。やから石を取るってことは船長の座を奪うことになんねん。さすがに直接の申し込みを断る程、腰抜けじゃないかんな。」

シンは言い終わると、深いため息をつく。

「わかった。まぁ任せときぃや!…でもお前、よう奴らの場所までわかったなぁ?」

シンはさらに苦笑いしながら

「毎月、熱っついラブレターが届くんよ。」

それにはタカもノゥンも笑った。
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