Go against story

真実

ノゥンとタカは家に帰る間中、黙ったままだった。

家に着くと、タカは鉄馬を置くやいなやシンのところへ走っていった。

「おぅ!タカ、ノゥンお帰…」

「バキッ!」

タカはシンを殴った。

「何すんねん!」

シンも反撃しようとするが、タカが床に抑えこむ。

「うるさい!…シン!なんで…なんで俺の親のこと黙ってたんや!」

タカの目からは涙が流れていた。

「タカ!もぅ止めてよ!」

ノゥンが二人の間に割って入った。

「船長から聞いたんだ。タカの親がトランスハンターだったこと…。後…石が…トランスが死んだ後にできる魔力の結晶だったってこと…。」

うつむきながら話すノゥンにシンも黙った。

「シン、頼む。ほんまのことゆうてくれ!」

シンは黙ったままイスに座ると、重い口を開いた。

「わかった。真実を話す。…船長がゆうたとおり、石はトランスってゆう奴らの死後の姿や。俺らの村では石…クライを狩る“ハンター”と、そのクライを加工する“鍛冶屋”に別れて生活していたんや。俺の家系は鍛冶屋として。タカの家系は…ハンターとして、共に生きてきた。あの日、盗賊に襲われるまでは…。」

言い終わるとシンはタカを見た。タカは拳を握りしめ、シンに言った。

「オレはそんな話、親からしてもらってないで!」

「この話は代々、長男から受け継がれて行くんや。お前には兄貴がおるやろ?やから…お前の親は何もゆわんかったんや。」

シンの言葉にタカは唇を噛み締めた。そして、涙を流しながらシンに言う。

「シン…オレは…オレの家系は…トランスハンターなんやな。やったら…オレら一族はノゥン達を殺してたことになる…」

その言葉にシンは驚いた。

「なんでノゥンやねん!ノゥンは…」

ノゥンを見たシンにノゥンがポツリと言った。

「僕は…トランスらしいんだ。」

シンは言葉を失った。

タカもノゥンを見つめる。

「まさか!…んなわけないやろ!だってノゥンはどう見ても人間…俺が教えてもらったトランスは人とはかなり違うって…。」

シンは気を取り直して、ノゥンを慰めるように言うが、ノゥンはうつむいたまま

「船長のクライが僕と共鳴したらしいんだ…。」

と言って黙った。
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