Go against story

大切な者

二人は大通りの中に建っている大きな武器屋へと入って行った。

「いらっしゃいませ~!どのような物をお探しで?護身用の盾から、魔物をも貫く槍まで全てとり揃えております~!」

店員らしき男がニコニコしながら近付いてきた。

「あ~…雪用の防寒具で何かえぇのある?」

タカが近付いて来た男に苦笑いしながら聞いた。

「あ~っと!お客さん、ついてませんね!ついさっき来た4、5人の人達が店に置いてある分全部買って行かれました。」

店員は悪びれる様子もなく、ニコニコ笑いながら言った。

「在庫とかもないのですか?」

「えぇ、まずこの国では防寒具なんてみんな持ってるからあんまり在庫は置かないようにしているんです。」

ノゥンの問い掛けに、半分面倒くさそうに答える店員。

「あほらしい!ノゥン、他んとこ行こっ!」

タカは店員の態度に腹を立てながら、外へ出た。

「タカ、店を出るのはいいけど…行く宛あるの?」

遅れて出て来たノゥンはタカに言った。

「行く宛は…」

タカが辺りをキョロキョロと見回した。

すると何かを発見したらしく、ノゥンの肩を叩いた。

「ノゥン、あっちがわの道のところ…人や小さい露店みたいなんがたくさんあるで!何かあるかもしれん!行ってみよ!」

タカは強引にノゥンを連れて行った。




そこは商店街のようになっており、この辺りではまだ人々の顔には活気があった。

台の上にところ狭しと並べられている野菜や果物、訳の分からない木彫りの置物がある店、大声で呼び込んでいる店など様々な店が並んでいた。

「へぇー!この町でもこんなに活気があるところもあるんだね!ねぇ、タカ!」

ノゥンが感心しながら振り返ると、そこにタカの姿はなかった。

「タカ!?どこ行ったんだ!!?タカーーー!!!」

ノゥンは叫びながら辺りを探した。

(タカ、一体どこに行ったんだ?)

懸命に探すノゥンがタカを見つけたのは商店街の外れの小さな露店だった。

「タカ!!!やっと見つけた…探したんだよ!!!」

ノゥンが少し怒りながら言うと、タカは申し訳なさそうに

「すまんかったな。ちょっと気になる物があったんや。」

と、また露店の前に座り込んだ。
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