Go against story
「これは…?」

「そいつは鳥笛や。俺が外に出るときはいっつも連絡用に鷲を連れて行くんや。その笛で呼べば鷲がお前らのとこまで飛んで行く。」

ノゥンは試しに吹いてみたが、何の音もしない。

「あはは!それは人間の音には聞こえん高さやから吹いても何も聞こえんで!」

シンがノゥンの頭をグシャグシャと撫でた。

「シン~。何でオレに持たせへんのや!」

タカがふてくされながら言うと

「そんなん、お前が何回もこの笛無くすからやん。…俺がその度に作り直したんわかってるんか?」

シンに怒られたタカはしゅんとなった。

それを見ていたノゥンがクスッと笑い出すと、二人も顔を見合わせて三人で笑い合った。




そして、先にシンがボートを下に降ろすとその後に鉄馬が勢いよく飛び出した。

「タカ!シンはどこに向かうつもりなんだ?」

強い風を受け、声を張り上げながら言うノゥンにタカも叫ぶように答えた。

「あいつは!ベクトールに向かうんや!!!あそこは前から良くも悪くも色んなもんがそろう町やから!!!」

鉄馬はシンと反対方向へ向かって飛んで行く。

ノゥンはシンが見えなくなるまで大きく手を降り続けた。
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