星の海
「おばあちゃん!!
お姉ちゃんいたよ〜。
こっちこっち!」
息を切らしながら一人の
おばあさんが走ってくる。
昔、一度だけ
見たことがある。
お母さんの葬式の時だ。
あの時見たおばあちゃんは
大泣きしていて、見ていて
心が締め付けられた。
でも、とても元気で
優しいおばあちゃんらしい。
未柑がメールで
そう言っていた。
「おお、あんたが果林か。
よろしくお願いします。
…何でおんぶしてんだい?」
「あっ!!これは
いろいろあって…!!」
「ばっちゃん!
果林足ひねってんだよ。
助けてやってくれよ」
「おお!そうか!!
そりゃ大変だ。
果林こっちおいで。
冷やさなくちゃ」
「あ!ありがとうございます!
悠真、ありがと。おろして」
「いや、いいよ。水道
までおぶってくよ」
「嘘っ!ありがと!!
優しい〜」
「お前…落とすぞ?」
「わっ!ごめん〜」
「こっちじゃあ〜!
はよおいで〜」
「はいよ〜」
あたしはその時
気づかなかった。
未柑があたしを
鬼のような顔をして
にらんでいたことを…。