獣闘記
序
難波猛
― 難波道場
木目を撫でるように
春の陽が差し込む
ゆらりと揺れるその光の先に
一人の男が座している。
神棚と正対しているため
入り口には背を向ける形になる
黙想―
微動だにせず精神を研ぎ澄ませる
道場の一部であるかのように
その空間に溶け込みつつ
巌たる存在感を内側から放つ
何も知らず足を踏み入れたものは
"在る"という事実だけで
圧倒されるだろう
たとえるなら
寺院本堂と大仏像という感覚が近い
道着を湿らしている汗を見れば
半日以上この場に座しているを
容易に想像できる
その男―
難波猛は考えていた
木目を撫でるように
春の陽が差し込む
ゆらりと揺れるその光の先に
一人の男が座している。
神棚と正対しているため
入り口には背を向ける形になる
黙想―
微動だにせず精神を研ぎ澄ませる
道場の一部であるかのように
その空間に溶け込みつつ
巌たる存在感を内側から放つ
何も知らず足を踏み入れたものは
"在る"という事実だけで
圧倒されるだろう
たとえるなら
寺院本堂と大仏像という感覚が近い
道着を湿らしている汗を見れば
半日以上この場に座しているを
容易に想像できる
その男―
難波猛は考えていた