sakura-君と出逢えて-
キミとのキョリ
* * *
二人で乗り込んだいつもと違う時間の電車。
もちろん、わたしと同じ制服の学生はいない。
咲来と同じ制服の学生はちらほら見かけた。
でも、ほとんどが教科書やプリントを見ていたり、音楽を聴いていたり……。
当たり前のことだけど、わたしと咲来には関心がなさそう。
椅子に座ると自然に離れた咲来の手。
それは、彼の携帯が鳴ったから……。
もし、携帯が鳴らなかったら?
椅子に座ってなかったら?
咲来はわたしの手を離さなかったんだろうか?
倒れたら困るなんて本当は口実だったんじゃないの?
本当は手を繋ぎたかっただけじゃ……。