sakura-君と出逢えて-



「春はさ、何でオレの名前が咲来なのか知ってる?」


「え?」


「咲来って、女みたいな名前じゃね?」


「そう言われれば……」



小学校の時から知ってるせいか、そんなことは疑問に思わなかったけど……。


さくらっていう名前の響きだけ聞けば、女の子に聞こえる。



「オレさ、咲来って名前がすっげぇ嫌いでさ。絶対、オレだと分かるたびに、男からはブーイングだし、女からも白い目で見られるし……コンプレックスだったんだよね」


「そうだったの?」



全然、そんなことは知らなかった。


咲来にコンプレックスがあったなんて……。



「名前のことでお袋ともめたことなんてしょっちゅうだし……でもさ、この間、初めてオレの名前の由来を聞いたんだ」



咲来が一息ついてまた、口を開いた。









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