sakura-君と出逢えて-
「オレが産まれる時、オレかお袋どっちかが死ぬかもしれねーくらい危険な状態だったらしいんだ」
「え?」
おもわず驚いて声を上げてしまう。
「分かる。オレも同じリアクションだった」
咲来がそう笑った。
多分、全く同じだったと思う。
「医者にはそう言われたんだって。どんな状態だったかはお袋の言葉が専門用語すぎてよく分かんねーけど。
で、お袋は自分の命はいらないから、オレを助けてくれって言ったらしいんだ」
ドクン。
咲来のお母さんの気持ちに心が震える。
「で、いざ、手術してお袋の意識が戻ったのが分って、オレは死んだと思って病室で泣きじゃくってたらしいんだ」
淡々と話す咲来から目が離せないでいると、咲来がギュッと手を握りしめた。