sakura-君と出逢えて-
「そこに親父が慌てて入ってきて、子供も無事だからってお袋を抱きしめたらしいんだ。
その時に、病室の窓から見えた桜が満開で、親父の背中にも花びらがついてたんだって。
桜が子供の命を助けてくれたってお袋は感じて咲来にしたらしいんだ」
「そっか……」
「しかも、花の名前の桜だと女みたいだろ? 同じさくらの響きで咲いて来てくれた……つまり、生きてくれたってことなんだって」
「すごい意味のある名前だったんだね」
「そう。それを聞いてから自分の名前がすげぇ好きになってさ。単純だけど……」
「咲来っていい名前だもん」
「春にそう言われるとめっちゃうれしいんだけど」
ぱあっと明るくなる咲来。