sakura-君と出逢えて-
放課後、わたしは桜の下でもう少し待ってみようと思っていると、そこに人影が見えた。
「ゆず!」
思わず駆け寄る。
「あ、春ちゃん……」
少し淋しげな表情でわたしを呼ぶゆず。
「あの、昨日はごめんなさい。ちょっと体調が悪くて……」
「うん、知ってるよ」
「え?」
「ま、そんなことより。春ちゃんに大切な話があるんだ」
大切な話……。
何となく予想がついて背筋が伸びた。
ゆずが桜の木にもたれかかって空を見上げた。
わたしもゆずの隣にもたれかかって空を見上げる。
「……多分、この桜は今日で散る」
「うん、そんな感じだね……」