叶わない恋
「あの2人は私のお兄ちゃんと私の彼氏。」

そういった郁は、笑顔ではなくて涙だった。

「そうなんだ。
どっち側が郁のお兄ちゃん?」

私は、そう聞いていた。

「右側だよ。
でも
もうこの世界にいないの・・・。」

「えっ!」

「もうこの世界にいないの。
お兄ちゃんも空海(くうかい)も・・・」

郁は、泣いていた。

「なんで?」

「去年の夏、殺されたの。」



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