硝子の靴 ~夜帝の紅い薔薇~少女A~
「ごめんなさい、
七海さん…」
「もういい」
龍星は車をおり、
日和も車をおりる。
「送って頂いて、
有難うございました」
「どういたしまして。
日和なら、
いつでも送るよ」
二人は、微笑む。
「ごめんな」
そっと言いながら、
日和の頭に手を置いた龍星の手の感触が、
こそばかった。
あたたかくて…愛しい―
「じゃあ」
「うん。じゃあ、またな」
「はぃ」
龍星の「またな」を噛み締めながら、
また微笑んでくれたことに嬉しくなる。
この人が笑ってくれると嬉しい
レミコさんのことは、
聞かない
気にしない
七海さんの笑顔が見れない方が
辛いから―
「今日の花火は、
凄かった!
夢に見そう」
「そっか。
また一緒に見ような」
「うん。
七海さん
おやすみなさい」
「おやすみ」
日和は微笑んで、
玄関へと向かう。
「日和!」