硝子の靴 ~夜帝の紅い薔薇~少女A~

「私なんかが…
…いいの?」

「何言ってるの。

日和のことを考えながら、日和に一番似合うドレスを選んだんだよ。」

「私に、一番似合う?…」


日和は、
手渡されたドレスを見つめた。

薔薇のモチーフの真っ赤なイブニングドレス。

「そうだよ。

日和に着てほしくて。

俺が、プレゼントしたいから買った。

だから、
遠慮なんかしないで。

それに、…」


龍星は、途中で話をとめて、
日和を見つめた。


「日和は、

自分の魅力をわかっていない」



「えっ……

私の…魅力?…」


「うん。

着てみてよ。
わかるから。

俺が、女にプレゼントするなんてないんだぜ」


「あ……」

そうだなぁ
と言葉を詰まらせる日和を見ながら、
龍星が冗談ぽく微笑む。


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