硝子の靴 ~夜帝の紅い薔薇~少女A~

白い車

日曜日がきた。

七海 龍星との約束の日。

待ち合わせ時刻は、午後一時。

昨晩は、未知の日に興奮していたのか、なかなか寝つけなかった。
そして、朝は、早く目覚めてしまった。


12時50分

私は、待ち合わせ場所に着く。

緑道の石造りの椅子に、腰をおろす。

天気は、快晴。

周りを見渡したが、まだ、来る気配はない。

私は、暇をもてあまして、自動販売機にジュースを買いに行った。

再び、椅子へと戻り、腰をおろす。

缶ジュースを飲みながら、待っていた。


待ち合わせ時刻の、一時になろうとしていた。

見渡すが、それらしい姿はない。

すると、私の携帯が鳴った。

番号を見ると、七海 龍星からだった。


「もしもし」

『日和ちゃん?七海です』

「あ、はい」

私は、一度しか名前を言ってないのに覚えていたのかと、感心した。

『白い車が停まっているの、わかる?』

私は、周りを見た。

『左の方』

言われたとおりに左を見ると、とても格好良い白い車が停まっていた。
でも、窓が黒くて、人が見えないので、探すように見ていると、窓が開き、中から人が小さく手招きをするのが見えた。

「あ、」

七海 龍星だった。

『わかった?』

「はい」

『おいで』

「…。はい」


彼が、正面を見据えながら携帯を閉じるのが見えた。

私も携帯を切る。

彼は、周りの通りを確認しながら、車から降りた。
そして、
後ろへ行くと、後部座席のドアを開けた。

知らない男の人の車に、乗る事になる。


私は、覚悟した。

まさに、この時、覚悟した。

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