硝子の靴 ~夜帝の紅い薔薇~少女A~
車に乗ってから、どれくらいの時間が経ったのだろう。

何分くらい経つのか。

時計を見ればわかることだが、私は、音楽と外の景色と車の乗り心地が快くて、シートに体を委ねて、流れる景色を眺めていた。


ふと、運転席側のサイドミラーに、七海 龍星が写っているのに気がついた。

私は、見ている自分に気付かれたら恥ずかしいと思い、とっさに目を外に移す。

【あ、そういえば…】

時間を聞かれてから、あれからしゃべっていないことに気づく。

あれから、彼は、一言も口を開いていなかった。

しかし、

私は、居心地悪くはなかった。

寧ろ、逆に、
居心地良く感じていた。

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